ヨーロッパ見聞第四話:ドイツのDr.肩書き


 訪問先の会社の幹部から、夕食を招待されたときのレストランの食事のひとこま

▼ホストは、招待した最高位の人がつとめる。その人は、Dr.Plenzという方だった。

 彼はテーブルの真ん中に坐って、お客の上位の人を自分の横に坐らせて、参加者全員の坐る位置をきめる。

▼各人が好みの食前酒を飲む、その後、メニューを見て、スープ・料理を決める。参加者はそれぞれ楽しみながら選んでいる。

▼日本人は往々にして右のものと同じものにするようであるが、彼らは自分で食べたいものを選ぶ。

  それが決まると、食事中の飲み物をホストが尋ねる。

▼<ブドウ酒>ということになると、ウエイターがワインメニューを持ってくる。それをホストがみて適当なものを指定する。

  ウエイターはブドウ酒の瓶を持ってきて、ホストに見せる。指定のものかどうか確かめるためか? そこでホストがブドウ酒グラスに少量ついで、味をきく。そこで、よいと云う合図をウエイターにすると全員に注ぐ。

▼客人は接待者に目の高さまでグラスをあげて gut(英語ではgood) とあいさつする。また目礼して<良い>ことを口にしないで表現する。このようにして料理とブドウ酒を楽しむ。

  このときのメインディシュは<キジ>の肉料理であった。その後、アイスクリーム、お茶を飲む。

  料理1人当たり50ドイツマルクていどであった。

▼清算が面白いことには、ホストである接待側の最高位の人のところにウエイターが請求書を持って行く(日本では下役の庶務係りにもってゆく)。

  さらに私がこれはと思ったのは、私どもを招待された方がDr.(ドクター)であったので、Dr!とよんで、請求書を渡していた。日本では想像もできないほど、ウエイターがDr.Dr.と呼称して使っていた。明らかに敬意を表していた。その Drが勘定書きをていねいに見ている。金銭に対する考え方を示していると、日本との違いを感じた。

私見:第二次世界大戦で、日本も西ドイツも国が敗れた。しかし西ドイツでは権威が相当に残っている。日本ではそれをつぶすのに、やっきになっている。国民性を目の当たりにした。


参考:インターネット引用

  ドイツ人が欲しがる肩書きは Dr. 2006/8/26(土) 午後 5:51ドイツ関連記事ヨーロッパ ナイス!0mixiチェック はてなブックマーク 転載ドイツ留学中に見たテレビ番組で、ドイツ人が欲しがる肩書きは<Dr.>だとしていた。

▼留学先に到着し、翌日に住民登録の手続をしたが、その申請用紙には、アカデミックタイトルの記入欄があった。

  つまり、な前の前に Dr. や Ing. などの肩書きを付けるのかどうか確認しているのだ。

  単なる Dr. ではなく、理学博士であれば Dr. rer. nat. であったり、更に Prof. を付けたりと、肩書きにはうるさいのだ。

  それに表札には Dr. ○○ と必ず書いて、自己主張している。(外国からの郵便物もあるので、私も郵便受けに日本語と併記して Dr. ○○ と明示している。)

  公式文書や講演会の案内などでは、必ずこのアカデミックタイトルを付けなれればならない。もし忘れて、手紙の宛なも単に Herr や Frau だけだと抗議されるだろう。

▼元々、大学に進学する割合は、日本よりもかなり少ないから、エリートという表現はぴったりだ。そして Dr. を取る人数は、大卒者よりも更に少なくなるから、希少性は高い。

  社会的地位の高い人や、経営者、政治家も Dr. を取っている人は多く、コール元首相も持っている。ただし政治家は、<歴史学博士だから、何か物語りを書いて取ったんだ> と冷やかされている。 ▼そこで、ドイツ人の、Dr. という肩書きへの憧れを利用したビジネスが生まれる。東欧の大学にお金を払って、博士論文審査を行ったことにして、Dr. の肩書きをもらうのだ。

  バカンスなどを利用して東欧に旅行し、その間に何回か授業のようなものに出席した後、あるテーマについて執筆した簡単な博士論文を提出して、めでたく博士になれるのだ。

  アメリカにある学位販売所よりは、形式的であっても論文を提出するのだから、まだましか。

▼共産圏の崩壊により、東欧の大学も運営資金に苦労しているので、ドイツ人が望む博士を与えることで、お金がもらえるならば好都合だ。

▼日本の場合も、<論文博士> という制度があるから、似たようなものだろうか。大学院の課程を修了した博士は、<課程博士>と区別されている。

  民間企業に就職した後、企業での数年間の研究をまとめて、出身大学に博士論文を提出し、1時間くらいの論文審査(口頭試問)を受けて、博士の学位を授与されるケースが多い。

  審査前に、一応指導教授から、論文の内容について指導が行われるので、論文博士だからといっても、そんなに楽でもなく、レベルが低いわけではない。

▼社会人向けの大学院も増えてきたので、今後は論文博士はなくなるのかもしれない。

  ただし開業医が<医学博士>を取得するために、論文博士をなくすことはできないだろう。国会図書館の博士論文の目録は、医学博士だけで1冊になるが、それ以外の博士は全部で1冊だ。それだけ<医学博士>は氾濫しているのだ。

医師の場合、大学に残らなくても、後から医学博士を取れるシステムが完成しているわけだ。何も研究をしていなくても、大学の後輩に資料集めから論文執筆まで強制して、後は内輪での、なあなあ審査を通過して、めでたく看板に<医学博士>と追加できる。

二十五年十月十日

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