昭和次郎の食事 | お粥さん | 素朴な琴 |
私は時々お粥を炊いてたべている。始めは土鍋に冷たいご飯をいれて、目分量の水を入れ、ガスの上において炊いた。沸騰する水を少したして、ともかくも柔らかくなるまで度々蓋をあけて、底に焦げ付かないようにかき混ぜていた。こうして炊き上げたお粥はあまりおいしくなかった。 あるとき、知人から炊飯器で炊けると教えられた。炊飯器にはコースのボタンがあります。2段にかかれている。上段は左から白米、小量、早炊き 無洗米。下段はすし、おかゆ、玄米、お手入れと8種類が選べるようになっている。お釜の中には「全《と「5分《の記入がある。そしてご飯またはお米の分量が刻まれている。 私はこのボタンでおかゆに指示して、ごはんの量を5分の5勺の目盛りに水を入れて炊いている。約45分~60分で炊きあがる。一度も炊飯器の蓋を開けたりはしない。 こうして出来上がったお粥はどんぶり茶碗に一杯になる。茶碗に入れて、お塩を少しずつふりかけて、ちりれんげで表面を一回りしながらすくい食べている。結構おいしくいただける。
以前、買っていた『おばあさんの知恵袋』 ~桑井いね~ 昭和五十一年十二月十日第一刷発行、発行所:文化出版局:発行者*大沼 淳に次のような記事があった。大変参考になりましたので、記録にのこしました。 大和の代表的な食べのといいましたら、お粥ではないかと思います。わたしどもではおかいさんといいまして、さんづけでよんでおりました。白粥、いも粥、茶粥などや、七草粥に小豆粥のほか、里でははとんど毎日おかいさんを炊いており、主人もわたしもお粥で育ったようなもので、東京にまいりましてからもなんだかんだとよくお粥を炊きました。 そもそも奈良のお粥は、大仏さんをこしらえるときに、ごはんをお粥にかえて節約をしたのが始まりともうします。 お粥にも、冷やごはんから作る「入れお粥《とお米から炊く「炊きお粥《の二種類があり、お味は炊きお粥のほうがずっとおいしゅうございます。 おいしいお粥は、もちろんお米の選定から始まります。お米はよくよく洗って一晩水に漬け、お米の量の五から七倊の水を加えて火にかけます。お粥は大きなお釜より小さめの鉄釜か土鍋(行平:ゆきひら)で炊きます。 わりに強い火にかけ、沸騰したらすぐに火を引き、煮こぼれない程度に、米粒が一粒一粒上から下へグルグルと対流するような火加減にします。少し火が強いとふきこぼれますし、少し火が弱いと米粒の回転が止まり、お粥が焦げるというたいそう恥ずかしいことになってしまいます。ふきこぼれるから、と蓋をあけたりしてはいけません。全く同じスピードで米粒をグルグルと四十分ほど回転させ、火を消してさらに五分ほど蒸らします。 この火加減は、それはそれは難しいもので、「大和に嫁入るとおかいさんの火加減で泣くでえ《といわれるほど大変なものでございます。 こうしてできたお粥は、さらっとしていて口に含むとさっとつぶれます。途中でかきまわすと粘りが出て、すぐにわかってしまいます。 お粥はできたてをたべるもので、さめると粘りが出てしまいます。塩味をつけるときは塩を火を止める直前に入れ、これも初めから入れるとお米はかたく、おねばはネトネトになってしまうのでございます。 お粥のおかずは、梅干しやじゃこ、卵焼きなど柔らかいものが合います。わたじゅしの里では前日の冷やごはの上に、熱々のお粥をかけ、おたくあんで朝食にしておりました。冷やごはんに熱々のお粥、というのは召し上がったことのないおかたには奇異にお思いでしょうが、とてもおいしいものなのでございます。 白粥は、このようにお米を選び、炊き方をも難しいものですが、茶粥のほうは、ごまかしがきくと申しましょうか、ずっとやさしく炊くことができます。 お茶は、番茶やほうじ茶を使います。どこの家にも茶袋という木綿の袋がありまして、この中にお茶を入れ、お釜のお湯で煮出し、お茶が出たら茶袋を引き上げて、洗って水に漬けておいたお米や冷ごはんを入れて炊きます。お茶が炊くと、火加減がどうのこうのこうといわなくてもごはんがお茶でしまって、さらりとした茶粥ができ上るのでございます。 お粥は、いずれも熱々を食べるもので、そのために奈良県人は胃ガンが多いともいわれています。 粥という字は、ごはん茶碗にお箸を並べ、とくと眺めていたら、はしの両側が弓形になり、弓と弓との間に米粒が見えた、というのがもとであると、祖母が話しててくれたのを思い出します。 関東のおかたは、お粥は病気のときに食べるもの、とお思いのようですが、瀬戸引き(ほうろう)のお鍋をガスの火にかけて、ひとっ作ってごらんになるとよいと思います。ササニシキなどでさらり《として芯まで柔らかいお粥は、おすしなどと同じように、お米の味を楽しむ、本当においしいものなんでございますよ。 参考:『おばあさんの知恵袋』昭和五十一年十二月十日第一刷発行、発行所:文化出版局:発行者*大沼 淳 冒頭はこんな言葉から始まります。 ひとりのおばあさんをご紹介します。 主婦としてつつましく生きてきた、 典型的な明治の女、いねさん。 むかしの生活、家事の工夫を振り返る、 おばあさんの思い出話に、 しばらくお付き合いください。 それで、ごく普通のおばあさんの話かと思いきやなかなかハイレベルな話もいっぱいで普通の家庭というよりはかなりハイソな家庭の様子が描かれているのです。それもそのはず、著者は家事評論家の「西川勢津子《さんで「桑井いね《は、ペンネーム。それも、苗字は野菜、吊は主食からとったというユーモアのある吊前なのです。 この本の帯紙に、磯村尚徳(NHK)、池内淳子(女優)が書かれている。 今や「語り部《となった私が申し上げるのもへんですが、このおばあさんはすてきな語り部でいらっしゃいます。核家族化した日本では本当の意味の教育ママやおばあさん消滅しつつあるのを残念に思っていましたが、洋の東西の事情に通じたこのおばあさんの知恵袋をみて、私の上満も解消しました。母を早く亡くした女房にも是非読ませたいと思います。磯村 昔のことを本当によく覚えていらっしゃいますね。日本の女って何とすばらしいのだろうと、かんしんしてしまいました。人生、それがドラマだと申しますが、私もいねおばあさんのような利発で働き者の女を、お芝居で演じてみたいなぁ、と思いました。池内 平成二十九年三月二十八日
こだま七草がゆ
おかゆと七草のセットである。値段298円。 ①おかゆの袋を開封し、茶碗に移します。 ②乾燥七草を①に加え、軽く混ぜます。 ③ラップをし、約2分間(600W)で加熱すれば出来上がりです。 *加熱時間は機種により異なりますので加減してください。 「湯煎の場合《の方法は略。 ▼簡単で便利である。米飯がゆの量250g/袋。 平成三十一年一月五日 |