第三話:初めてのホームスティ━その2━

平成2年7月19日木曜日 

▼4:30頃目が覚め、もう一度寝て、次は 7:00 過ぎであった。ベッドをきっちり整頓。

 Host family の主人は early riser で、奥さんは good sleeper だと、昨夜話していた。それぞれ別々に起きて勤め先の大学へ自動車で出勤。

 昨夜、ガスバーナーの使い方並びに卵のスクランブルの作り方を教えてもらった通りに朝食を準備。お皿、バター、tea を kitchen の台の上に準備してくれていた。心遣いに感謝した。彼等は朝食をしている様子はない。飲み物程度で、コップとナイフが台所の流しにあっただけである。

 食事後、TVで Dayton international airport での air trade and show を見ながら日記の整理。

▼私の寝室にしてくださった部屋に以下の“掛け物”があった。

      TO MY DAUGHTER

   You're a precious thought to me.
   A treasure to my heart.

   You're a daughter who has played
   A very special part.

   All the beauty life can give
   is summarized in you.

   I am proud and I am glad
   That life presented you.

   In your own compelling way
   I see that you're unique.

   I am confident you'll reach
   The very goals you seek.

   Your growth and progress always are
   So charming to behold.

   It is such a wondrous thing.
   To match your life unfold.

   All my love and all my hopes
   Give time a special hue.

   All my days and all my years
   All full because of you.

           ---Bruce B. Wilmer

 親の愛情を具体的に表現しようとする行動に感心させられた。

注:Bruce B. Wilmer をインターネットで調べると多くの詩を書かれています。

▼11:50 頃、昼食のために SHOPPING CENTER に出掛ける。近くまで行った所で原さんに pick up された。小林先生も乗っていた。昨日、Young が言っていたことを正確に聞いていなかったようである。これからは大事な予定などは書いてもらわなければならないと思う。

 N. ALEX HARA(昭和16年生まれ)横浜市出身、中央大学卒業、アメリカ国籍取得、アメリカの女性と結婚、8歳の男の子供がいる。20年位滞米、訛があり子供さんが直したりするそうである。

 Consultant の外に PNEMOTOR の会社を作って企業化直前である。

 PNEMOTOR と関連して軍関係と交渉するときはアメリカ国籍が便利。

 昼食にピザーの店に行く。満員。次の店でハンバーガーをいただく。彼のオフィスに行く。

 ホンダからの出向社員 Mr.HIROSHI IMADA の案内で U.S. AIR FORCES MUSEUM 見物。

 17:00 過ぎ帰宅。30分過ぎた頃,Young 夫妻帰宅。

 Hello! How are you! の挨拶。場面,場面での英会話の勉強になる。

 Young は来年6月、中国を訪問する予定であったが、日本に変更したとのことである。日本料理に案内することを約束した。

▼Mindy のお母さんを訪問

 Mindy の運転で訪問。その間、主人が中華料理を作る。フライドライス、白ご飯も同時に作る。

 訪問の途中、彼女は34歳であること。小生は62歳を40歳と言って大笑いになる。彼女が小さいとき建築家のお父さんが亡くなる。彼が建てた家があれだと指し示したりした。お母さんは再婚していることをお隣の歯科医師の奥さん(アメリカ人と結婚している広島出身)から聞いた。

 Mindy は今年12月に Education management の Doctor course を働きながら4年かけて卒業の予定。

 家に着くと、家の中をくまなく案内された。立派なものである。

 庭を望むテラスでビールを飲みながら雑談しているとお隣の歯医者夫婦が手土産に「ほしいか」「いかの燻製」「おかき」を持って庭から訪問してきて雑談が弾む 。鯛の刺身、ふぐの話しなどが出たがよく聞き取れなかった。お母さんは57歳で早口で年配者独特のまくし立てるので聞き取れなかった。

 お母さんは Mindyに教育をつけたことを口にすると、彼女は感謝をキスで表現していた。親しい人の間でもこの様にたえず口に出して確認しあうことが生活の知恵になっているようである。

 dinner 招待を受けた。pick up に行くと言う。date だと笑わせた。

 歯医者の奥さんは「彼女は open である。すこしオーバーかも知れない」と、いわれる。

▼ホームスティの家に帰ると料理はだいたいできていた。

 食前の挨拶について話しながら食事。

 食前の挨拶は say a grace before a meal 日本語では「いただきます」か?
 For what we are about to receive may the Lord make us truly thankful.

 食後の挨拶はないようである。

 「アメリカというものは変わった国で、アメリカ料理という店が全米に一軒もない(ワシントンに一軒できたという話しを聞いている)。アメリカのどこを歩いても、レストランといえば、他国の料理を出す。フランス、イタリア、中国、日本…。」『アメリカ素描』より。

 アメリカ料理とは何か、とアメリカに住む人に聞いてみたことがある。その人はニュージャジー州の小さな町に四年、ワシントンDCに一年住んでいた。わからないという答えが返ってきた。

 アメリカは全ての人種を受け容れたように、あらゆる料理を認めたのである。移民たちは心づくしのおくに料理をアメリカにはこんできた。それを田舎料理といつてもよかったのではないか。

平成2年7月20日金曜日 

 ご夫婦が出勤した後に起きる。寝室に誰もいないときはドアーを開けている。

▼電話がかかってきた。英語で I am Japanese staying at this home, Young is out. と話す。

 shopping 鈴木さん(小林先生の host family)の奥さんが pick up に来てくれた。土地に余り慣れていないため原さんの事務所に到着するのに困る。途中大雨に出会う。日本梱包運輸倉庫(ホンダの物流の仕事60% )の社員・水野さんの案内で Columbus(Ohio capital City)で shopping 。

 昼食 水戸 Mito(日本料理店) 日本食御馳走になる。

 Columbus Mallでイタリア製のネクタイ2本買う。$15 が$7.5になっていた。水野さん(会計担当)との雑談

01.営業上の取り引きのやり方に日米の違い。彼等には日本式根回しがない。将来を見越しての初期の赤字を考えない。
02.普通の一軒屋の購入は約8万$。価格が上がっているので売るのに困らない。
03.ホンダの従業員2500人、関連会社600 人、合計2100人。その 2.5ばいの5000人の日本人がいる。雇用の創出は凄い。State government office には日本関係の部門がある。Ohio Stateは poor から rich state になっている。
04.反面 GM などは lay out したため、反感を持っているものがいる。ホンダの人を殺してやると言う者がいる。
05.ホンダの技術者は職人根性的なものがトヨタに比べるとある。従ってアメリカに来ている従業員が多い。
06.アコードが全米1位の売上になった?(1位の人気車種)。理由を尋ねなかった。故障率が低いことを含めた性能の問題なのか?
07.アメリカでの生産・管理の規制が厳しくなってきている。モデル・チェンジなどもアメリカ自動車会社の仕来たりに従うようになっている。日本車だけすると米国のものが売れなくなる。
08.minority の雇用 6% 以下であると罰金。
09.Appalachia 山脈から西を西部と言う。Ohio は Midwest と呼ばれる。
10.Columbus の街では横断歩道以外を渡ると罰金を取られる。州によりルールもかなり違うものである。

 現地の人との雑談から知識が得られる。聞き上手が大事である。

▼夕方 原さんの事務所に寄る。夕食に中華料理を御馳走になる。今日から小林先生は原さんのお宅に home stay。

 原さんのお話し

1.子供は母親の母国語は覚えるが父親のものは覚えようとしない。
2.友人の子供(中学生)がアメリカに一人で勉強に来ているが英語が出来ない。ある学校では引き受けてくれないので別の学校にいれるよう手続きをしている。アメリカで勉強したい人は日本のマナーを身に付けた後に来るべきである。大学を出て企業で2年位働いた後がよいだろう。英語の力を付けるには若いほうがよいが
3.これまで何度となく裁判にでくわしたが一度も負けたことがない。私はアメリカが弁護士社会であることを思い出した。
4.Dayton で黒人だけが数人乗っている市バスを見て、バスもあるのですねと話したところ「黒人家族は1台の自動車しか持たない。主人だけの収入では生活できないので女房も働かなければならないが自動車2台持つ余裕はない。従って公共のバスに頼っている。過去白人が黒人を虐待した弱みを感じての施策だ。」*『アメリカ素描』

平成2年7月21日土曜日

▼8:00起床 お休みで夫婦も溌刺としている。

 朝食は、オレンジジュースとミルクだけ。

 お土産に持参した「赤富士」の掛け軸を玄関の壁に掛け、「畳み表のテーブル置き」は客室のテーブルに、渋団扇は食卓に近い壁に掛けていた。

 家族の写真を撮る。シャーツの洗濯をして戴いた。また、靴も洗ってくれていた。家の中ではべットに入る時以外は靴を履いままであることから。こんな雑用は土曜日の暇なときにするようである。本日、彼は Mindy の大学院の勉強の手伝いをする予定。
 10:45 頃、原さんが pick up に来てくれた。小林先生と Air trade and show 見物のため。途中で日本人学校に寄る。小学生から高校生に至るまで各学年6時間の勉強をしていた。市から建物を借りているが想像していたよりお粗末である。もう少し日本人が手を加えたら良いと思った。高校生が学校に自動車で来ていたのが印象に残る。小林先生は授業参観して生徒の学習意欲が足りないと評価。
 Air show 見物 ともかくも、こんな見物は初めてのことであり、航空機についての知識もない。本当に沢山の人が集まつている。
 個人用から戦闘機、爆撃機、輸送機にいたるまでの飛行機が展示されていた。Show ではアクロバット飛行が絶えず行われていた。Thunderbirds の飛行で終わった。ソビエトの輸送機の上でビデオカメラを動かしていた。「あれはスパイをしているのだ」と原さんが笑わせた。

▼夕食招待 Mindy's mother, Brent and Mindy とご一緒。Treasure Restaurant に行く。普通の店であった。奥さんに葡萄酒($7)を選んで貰いプレゼントにした。扇子も贈った。

平成2年7月22日日曜日 ホームスティ終わる ナイアガラへ

★朝6:00 Mr.Kurosaki! Wake! と Mindy が声を掛けてくれた。

 I wake right now! と返事。Brent がハンバガー(昨日、レストラントから持ち帰った肉を挾んで)を作ってくれた。milk と juice を飲んで、6:30出発。

 Brent and Mindy が自動車で大学まで送ってくれた。少し感傷的になる。大学で Kalea Huff の両親に合う。彼等が私のところに来て自己紹介した。日本でのことを話す。原さんが子供を連れて小林先生を送っこられたのでお礼の挨拶。

 8:00 2班に分かれて出発

  Dayton ~~Cincinnati~~Detroit ~~Buffalo ~~Niagara Falls

 Niagara Falls は小雨であった。ホテルは上等でなかった。夕食は別のホテルの10階で、野菜サラダー、魚(美味しくない)、アイスクリーム。

 移動の時には最後尾について全体の行動に注意するように心掛けた。

★ 私見

1.Young 家の食事 朝抜き,軽食を持参して昼食,夜は main dish と野菜サラダー程度の非常に質素な食事だと思う。
2.guest には家を open に使わせる。部屋を show aroundして、冷蔵庫には何があると説明して自由に使いなさいと言う。guest の思うように気楽に、自由にさせることが最高のもてなしであるようである。host の思いは差し控えるようである。日本では host が guest の思うことを想像してあれこれしてしまう傾向がある。この気持ちでアメリカ家庭に入れば「ほっとかれた気分」になるかも知れない。
3.夫婦間、親子の間でも絶えず会話を交わして親しさを確認しあっている。お母さんがお前の学歴を付けてやった、今日の料理は美味しいなど。
4.仕事を分担する。女性だから男性だからと言うことでない。女が仕事をしていないで男に家事を手伝いなさいと言うようなことはない。
5.ホームスティ から帰ってきた生徒の中には涙を流しているものがいた。
6.彼等の生活態度から、私も個人生活を少し enjoy したほうが良いと。
9.米国各地を腰を落ち着けて生活して回らなければ米国は分からない。

 生徒・私たち大変お世話になりました。ありがとうございました。現地で活躍されている皆様のご健闘をねがっています

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平成二十五年十二月四日

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