研修生江田島体験入隊


 昭和61年2月17日(月)

 海上幕僚長 長 田 博(海軍兵学校76期の同期)

 拝復 お手紙拝見致しました。

 御依頼の第一術科学校研修の件承知しました。

 既に第一術科学校へは連絡済みですので、計画等の細部につきましては、直接第一術科学校(担当 総務課長)と調整いただいて結構です。

 時節柄御自愛の上益々の御活躍をお祈り致します。              敬具

   昭和六十一年二月十七日

           海上幕僚長 長 田 博

 株式会社 クラレ研修所

  所長 黒 崎 昭 二 様            

 昭和61年2月17日(月)5:30起床

 長田幕僚長の副官白畑二佐より江田島見学の件すべてOK

 簡単な手紙を出します 術科学校にも連絡ずみ


 昭和61年3月8日(月)6:00起床

 事前連絡

 8:00 海上自衛隊第一術科学校に行く:海将 遠藤峻夫(早稲田大学・3期幹候)、海将補 高須是夫、一等海佐 田中久夫、二等海佐 宮内幸雄に合う。

 101分隊自習室跡→食堂→507分隊自習室(食堂の近くにあった)→参考館見学。

 術科学校の建物は、海軍兵学校の西生徒館だと思い込んでいた。建物が四階建てであるのにも気づかなかったのである。

※参考:2023.09.04。調べてみると、西生徒館は昭和13(1938)年に建てられた。三階建てであった。正面最上段に菊の御紋章がはめ込まれていた。

 昭和31年(1956年)、横須賀にあった術科学校(四階建て)が江田島に移転した。とのことでした。


 昭和61年5月30日(金)クラレ中州寮に宿泊

 5/30 5:15 起床、5:30:山梨勝之助著『歴史と名将』(毎日新聞社)を読む。

 7:00 出発 雨あがり、7:40 鴨方、9:00 松永、9:35 沼田川沿い濁流、9:45 本郷中央病院、10:42 西条農高 田植えのおわっているものあり 黒瀬、11:15 広、11:35 呉、11:45 音戸の瀬戸、12:03 早瀬、12:30 到着 

 校長、副校長に面会

 カッター訓練・水泳練習・ブリーヒング・映画・日記・研修生に話す(Ⅰ)・巡検。

※研修生に話す(Ⅰ):自習室で

1、カッター訓練の様子を見ていると、説明のポイントの聞き方がよくない。

2、一日たつたので慣れてきたと思うので、明日はいろいろのことを観察すること。

3、山本五十六の言葉が寝室にはられていたのに気づいた人は……。

 昭和61年5月31日(土)

 5:35起床 第一術科学校で十息静坐しなかったが、佐々木君が2段ベッドの上段でキチントやっていた。

 6:00 候補生学校の起床動作見学。6:05 朝の海軍兵学校体操見学。6:05 クラレ体操。

 6:15 甲板掃除:私は一人で屋上に行き、ありし日を楽しむ。

 7:00 朝食、8:00 国旗掲揚 5分前の静粛はすばらしい 甲板掃除で校庭はほうきの目が立てられている

 定時点検 候補生学校では候補生が5分間スピーチを英語でしている。3人の女性候補生がいた。外人英語教師(一尉)がいる。

 8:10 行進 校長と朝のあいさつ。腕を肩までふって。参考館見学、記念撮影(校長も)遠藤校長ごあいさつ。

 古鷹山登山。古鷹山頂で研修生に話す(Ⅱ)、中山君落伍、水源地で待っている間話す(Ⅲ)

1、古鷹にエニシダはイメージを悪くしているが春を美しくするのによい、伝統と時流の調和を思う。

2、登山中ゴミがない、聖地にふさわしい

3、距離表に五省が一句ずつ書かれていた

4、総務課長が先頭で登られた

5、誰も弱音をはかなかった

 昼食、校長にあいさつ 出迎え 送られる、退校 一列縦隊 軍艦マーチ 見送り 

 校長が言われる

1、クラレの社員の躾はさすが。黒崎さんだからだと思います

2、エニシダは切っている。保水のためにうえたが、ほかの木が育ってきたから。

3、クラリーノの礼を言われる、靴を履きながら思い出します。

4、チーリから来客。日本には20回くらい来ている。江田島が日本で一番よいところだと言っていた。

 体験入隊で幹部の方々が天候を心配して頂く。好天に恵まれ「念ずれば花開く」をおもいだす

※研修生の感想

5月31日:江田島研修。西条工場 伊 藤 定

 江田島体験入隊で「純粋なこころ」「感謝の気持ち」を持つ、「日本人の心」を学んだ。長い研修所教育の中で最も印象に残る研修だ。機会があればもう一度ぜひ体験したいと思う。

私の感想:参考館に出身県別に戦死者の遺書が展覧されている。研修生は自分の県の所に行き、熱心に読んでいた。非常に感銘を受けていたようだった。


昭和六十一年六月九日

 拝復 御丁重な御手紙を誠に有難うございました

 少しでもお役に立てたとしたら当方とってもこの上ない喜びです 

 また御来訪のおりには結構な御品を御恵贈いただき有難うございました

 御芳情にに対し厚く御礼申し上げます

 海軍の良き伝統を継承しつつ時代の進展に即応した教育を指導し有為の人材の育成に専念いたす所存でございますので今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます

 初夏の候となりましたが くれぐれも御自愛され一層の御活躍御発展あらんことを心からお祈り申し上げます

                                           敬具

       第一術科学校長   遠藤峻生

   黒崎昭二様

平成29(2017)年05月21日作成。


参考:海上自衛隊第1術科学校

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