幼児教育(一)
子供を読書好きにするには


 子供を読書好きにするには

 「私の読書法」など無数の著作がある。大部分がその時代の有名人か大学教授たちの経験談を中心として書かれている。

 表題について、家内が子供に本を読ませるのを見守っていた者として、思い出しながら書いてみる。

▼家内は長男が幼稚園に入る前後のころ、喜びそうな絵入りの漢字(ふりがな付き)の混ざった本を買い与えていた。そして具体的にはどのように教えていたかは記憶にない。ともかくも、長男は順調に小学校・大学付属中学校・高校・大学の難関学部に進学した。

▼長女が結婚して女の双子が生まれた。何分にも双子の養育は大変だから、家内は一人ずつを預かり保育していた。そうこうするうちに、二人は元気に大きくなり、幼稚園に入る前から、保存していた長男に読ませた本を取り出して、読ませはじめた。

 多分に長男での体験を生かしてのことであろう。

 この二人は我が家の座敷で足を伸ばして、その上に本をおいて熱心に読み、分からないところは家内に聞いての読書が続いていた。そんな繰り返しをしているうちに、ノートに字を書き始めました。知り合いの方から、“ こんなに小さい子が字を書けるのは驚かされます ”と、言われるようになつた。

 私も同じで、長男の時には感じなかった幼児教育の効果には教えられた。

 やがて、小学校・中学校・高校生となり、大学に二人とも同時に合格した。私が尊敬している宮本 進先生から「双子さんが同じ大学に合格したのは快挙です」と賛辞を頂きました。

▼大学を卒業して社会人となり、時折、我が家に遊びに来ると、家内や私と談笑して、ときに、私の本棚から、めぼしい本をみつけては「これを読みたいから、持って帰ってもよいか?」と、断わり持ち帰っている。

 最近は自分で買った本を読んでいる。

 「子供を読書好きにするには」幼いときに本と親しませ、わからないことを聞かれると、ていねいに教えるという、簡単なことをすれば、これが種蒔きになり、さらに、習慣となり、第二の天性となるのだと。

▼参考に仮なと漢字について、原田 種重 著『漢字の常識』(三省堂)P.145~146に

 原田氏の友人石井勲氏は"「仮名字は難しいもの"、誰でもそう思い込んでいます。ところが、実際に小学一年生に、" 馬" と "うま" とを同じ条件で学習させますと、比較にならぬほど速く"馬"のほうを覚えます。字形が複雑だから覚えにくい、というのは常識的な判断で、実は漢字の字形の複雑さは記憶の手がかりになっているもののように思われます。ちょうど、人の顔もノッペラボーでは覚えようがありませんが、目や口や耳や鼻など手がかりが沢山あるので覚えられるようなものだと思います。その人が眼鏡をかけ口髭をはやしてホクロがあれば、なお記憶し易くなります。

 私は、一年生にこの実験を試みたとき、子供たちが、仮なに比べて漢字をあまりにも、やすやすと覚えるのに全く驚かされました。今では、神戸市の特殊学級で、仮名が覚えられない知能の低い子供でも、漢字はよく覚えるという事実も確かめられています。"漢字は難しいから、一年生は仮なで教える"という明治以来のやり方は間違っていたのです。漢字を沢山使ったほうが、一年生でも学習しやすいのです」

と言っている。一年生に「どうぶつ」と仮名で教えたところで、少しも易しいことにはならない。それよりも、漢字で「動物」 と教えれば、「先生、動物って、動く物とも読めるね」 と子供が言う。漢字で教えれば、その内容・実態まで正しく理解することができるが、仮なで教えたのでは、金魚やトンボが「どうぶつ」 であるかどうか、子供にはのみこめない。石井君は、教科書の仮なのところに、当用漢字で書き表すことのできるものには、プリントした漢字をはりつけて学習させ、その結果、小学一年生でも新聞がバリバリ読めるようになり、クラス一の劣等児でも、文部省の目標の二ばいも漢字を覚えるようになった。そして、他の教科の邪魔になっているどころか、かえって、良い教育効果をあげていた。石井氏の漢字教育の詳細については『石井式漢字教育革命』(昭和五二年一一月、グリーン・アロー出版社)の著がある。

▼また「朝日新聞」の「論壇」(昭和五三年一月一二日)に幼稚園の戸田白鳳氏が「幼稚園の才能教育」 と題し、

 「漢字教育についても、一年間に四、五百字は扱っているし、それも当用漢字にに限らず、子供にとって身近なもの、たとえば、『猿』『象』『蝸』『苺』『蜜柑』『鍋』『釜』など、動椊物や日常使う道具類なども取り入れている。そして子供たちは、字が読めるようになると、よろこんで読書するようになる」と記し、さらに、

▼「才能教育をしていても、小学四年生ぐらいになると、これをしていない他の子供たちとほとんど差がなくなるというが、そのようにせっかちに評価してはならないということである。なぜならば、幼児期に開発された能力は潜在意識の中に取り入れられ、その人の一生の中で、必ず芽をふいてくるに違いないからである」 と、幼児の漢字教育が才能を伸ばすのに役立つと主張している。

▼「よく万巻の書を読むなどというが、そんなことが人間にできるはずははない。人は一年に一万ページの本を読めば、それでひとかどの人物になれるはずだ。一万ページと言えばびっくりするかもしれないが、一日わずか二十八ページずつ読んでいけばいいのだ。」は書いている。

2012年9月1日記す。2022.02.12再度記す。

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