アメリカ西部開拓史

猿谷 要『西部開拓史』
(岩波新書)1982年7月10日 第2刷発行


★猿谷 要著 『西部開拓史』(岩波新書)

1982年7月10日 第2刷発行 1982年8月10日 購入 

プロローグ

 一九八一年十一月下旬、私はアメリカのほぼ中央にある町セントルイスで、世界有数の長流ミシッピ川のほとりに立っていた。この辺では川幅がかなり狭くなっていて、

   「まあ、四分の一マイルくらいだね。」 

と通りかかった町の医者が話してくれた。つまり、せいぜい四〇〇メートルくらいなのである。私が立っているのはミズーリ州だが、川幅が狭いせいだろうか、対岸のイリノイ州イースト・セントルイスとの間には四本もに橋が架っていて、どの橋にも自動車がはげしい勢いで往き来している。なにしろセントルイスは、その周辺ンい住む人口まで含めると合計二三五万、今では全米十二位の人口密集地帯なのkだ。