「立 腰 道」
「立腰道」とは耳馴れないコトバですが、要するに朝起きてから夜寝るまで、いつも腰骨を立てて曲げない━━という事です。これは主体的な人間になるための極秘伝であるばかりか、健康法という面から考えても根本第一義です。
したがってイスに腰かけいる際はもちろんのこと、バスや電車などに乗っている時などでも、常に腰骨だけは必ずシャンと立てて、絶対に曲げない━━ということです。
腰骨を立てるには、次の三段階を心して
一、尻を思い切り後につき出すこと
二、反対に腰骨をウンと前へ突き出す
三、そして下腹に力を入れると、肩のキバリがスカッととれる
以上三つの点が大切です。
もししっかり人間になろうと思ったら、その手はじめとして、まず二六時中腰骨をシャンと立てることです。このコトバを信じて、たとえば十分間でもよいから、ひとつやってごらんなさい。必ずや「ナルホド」と感じることでしょう。
「腰骨を立てる」ことによって、われわれ人間には、注意の集中力と持続力が身につき、そのうえさらに判断力さえ明晰になります。否、そればかりか、一だんと行動的になり、実践的になるのです。
(順に一人一人の生徒の腰骨に手を当てられて)
何です!!男子たるものがこんな屁ピリ腰なんかして━━サァ腰骨のここの所を、ウンと思い切り前のほうへ突き出すんですよ!!
そう!!この調子、この調子!! これで君も気持ちがシャンとして来たでしょう。」
「そう」「さすがです」「実にお見事ですナ!!」
(先生上着をぬいで、シャツ一枚になって坐られる)
では皆さん!! わたしの腰骨に一人一人手を当ててみて下さい。そして「ナルホド」と、そのこつを会得して下さい。背骨にそって手を当てて順に下へなでて、腰骨がどんなになっているか、あとで紙に書けるくらいに、ハッキリと心に刻んで下さい。サァ遠慮せずに、右手で、しっかりおさえて、お尻の終わるところまで撫(な)でてみて下さい。
「立腰道」の指導上大事なことの一つは、腰骨を極力前へ突き出すように━━というと、最初の間は状態にも力が入って、そんために全身が硬直的になり易く、それでは長続きがしないばかりか、不自然な姿勢なのです。そこでこの点を矯正するには、力を入れるのは腰骨を中心にした下半身だけにし、上半身は、できるだけ力を抜いて、らくな姿勢にさせるような注意が肝要です。
「腰骨を立てる教育」において何よりも大事なことは、教師自身がまず自ら「腰骨を立てる」ことの実践者であり、そして「これ以外には、子どもたちを真に主体的な人間にする途はない」との確信を持っていなければならなぬ。
現在わたし自身も、自分の担当している女子大生に対して、講義の開始前の数分間を、必ず瞑想静座させることにしています。今年は学年初めの第一日から、こうして講義ののスタートをしたわけですが、スッキリした雰囲気は得も言われませんですね。
「腰骨を立てる教育」の成否を決する最後の一点は何かというに、それは教師自身が自らこれと取り組み、その真価を身をもって認識して、これこそが人間が自らの主体性を確立する唯一絶対の方途たることを自ら体認し、それが不動の確信にまで至るということです。
この「立腰」の伝授はわが子といえども、最大至難なことをよく認識した上で、種子蒔きをすべきですが、その際大事なことは、一切小言を言わないということです。
それゆえわが子の腰骨が曲がっていたら、その曲がった腰骨を黙ってなでてやるのです。すると子どもは、不服げにうしろをふり向くでしょうが、そのとき親御さんとしては、一切小言を言わないばかりか、ただニッコリ笑うだけ━━ということが何より肝要です。
立腰の功徳 十カ条
1、やる気がおこる
2、集中力が出る
3、持続力がつく
4、頭脳(あたま)が冴(さ)える
5、勉強が楽しくなる
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6、成績もよくなる
7、行動が俊敏になる
8、バランス感覚が鋭くなる
9、内臓の働きがよくなる
10、スタイルがよくなる
参考1:森 信三先生
参考2:池見酉次郎
参考3:立腰教育一年を顧みて 西本岩夫
参考4:立腰との出会い 石橋富知子
参考5:私の「立腰教育」入門 西山先生
参考6:仁愛保育園
参考7:基本の技・一生の宝 【第7号】 「立腰(りつよう)」編
参考8:立腰教育の種まき
参考9:腰骨を立て通そう
参考10:「津高坐禅クラブ」の回顧と現在
参考11:宮本先生と黒崎昭二(家内を含めて)とお付き合い
参考12:花の寺 石仏庭園(京都亀岡)
平成二十八年三月二十七日
「立腰教育」について
平成28年5月28日(土)9:00〜
岡山市津高公民館 クラブ講座 宮本 進 先生主宰「やさしい坐禅」に参加させていただきました。
事前に「必要な準備は、コンピュータが宮本、プロジェクター・スクリーンなどは公民館で用意致します。時間は9:40〜11:30で、坐禅20分、茶礼10分、お話しは60〜80分です。なお参加者は、クラブ員6名程度です。皆さん熱心です。」とメールをいただいていました。
久しぶりに、私は足腰が弱り、イスで坐禅させて頂き、静謐な雰囲気につつまれました。
以前、曹源寺の修行僧に先生と私がお願いして、作って頂いて柝(たく:拍子木)は現在も使われていて、参加者に永遠の響きをあたえていました。
参加者は数名であったが時間前に来られ、お互いに朝の挨拶を交わされる。坐禅にふさわしい服装で、ある人はお菓子を持参、又ある人は草花を花瓶とともにもつて来られていた。
当日の参加者が一致協力して、座布団を並べ、机を配置、季節の花を飾るなどを無言でテキパキされている様子はなんともいえぬものを感じました。これも宮本先生の人徳の致すところだと思います。私は、ただ一つ先生の奥様がおられなかったのは淋しいおもいを胸に秘めていました。
「不将不逆」の方針で、継続されている坐禅クラブがこれからも続けられると信じさせられています。
▼当日、私が参加させていただいたのは、上記の「立腰道」を話させていただくためでした。
パソコンの画面をプロジェクターを使ってスクリンに映し出して、説明させて頂きました。
こんなことは初めての経験で公民館職員の協力と先生の御協力で無事にできました。
参加者の中の一人の女性の方が私のホームページ「習えば遠し」を読んでくださっているといわれました。初めてお会いした方でしたが心が開かれるようでした。文章ばかりのホームページだが、これでよかったのだと……。
先生のおはなしでは、「話しの内容は、すごく良かったと思います。立腰の大切なこと、広島の原爆のこと、オバマ大統領の訪問とその対応のこと(たまたま、当日アメリカの現職大統領が広島平和公園を訪問することが報道されていた)、私がHPを作成していること、コンピュータ操作をはじめ、若者に負けないメール発信などのご活躍をされておられることなど、クラブ員は大変な感銘を受けていました」と。
末筆ですが、先生には準備・送り迎え・そのた心遣いいただき感謝申し上げます。五月のすがすがし天空のような一日でした。
平成二十八年五月三十一日
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